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古橋秀之『龍盤七朝 ケルベロス 壱』
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龍盤七朝 ケルベロス 壱 (メディアワークス文庫 ふ 1-1)
アスキー・メディアワークス 2009-12-16

by G-Tools , 2010/02/13


 三首四眼五臂六脚、戦場に現れ一軍をも滅ぼすという、これは一匹の怪物の物語…。不死身の覇王に七国が蹂躙されていた時代、とある街に三人の半端者が流れ着いた。口八丁の〓(ひょう)使い。突くべき鐘を持たない鐘突き男。亡国の皇姫を自称する小便餓鬼。奇妙な三人が出会う時、“怪物を殺す怪物”が凄まじい産声を上げる…!!奇才・古橋秀之が打ち放つ渾身の中華ファンタジー―シェアードワールド企画“龍盤七朝”、新シリーズ開幕。(「BOOK」データベースより)
 鬼才・黒古橋による武侠アクション。これは激烈に面白かったと言ってしまっていいだろう。物語は一匹の、三首四眼五臂六脚を持つ怪物について物語るというところから幕を開ける。しかし、その怪物はまだ生まれ落ちていないらしく、もう一匹の、覇王と呼ばれる怪物について語られることになる。それから、しばし有能だけれど、天下を制するには至らない、やや小物を主人公に、圧倒的なまでに最強すぎる覇王について語られる。彼がいかにして覇王と戦い、敗北を喫し、それから負け犬としての人生を歩み始めることになるのか。負け犬ライフを選択した後の主人公がとにかく素晴らしい。その発言、その行動のすべてが曲がってはいるものの、実に人間的なのだ。彼は正義じゃない、でも人間だ。人情味溢れる、素晴らしい作品。
 描写も取り上げたい。武侠アクションとしての描写が、微に入り細を穿つようにしっかりと書き込まれているのだ。特に覇王の描写は、いっそ偏執的である。どれだけ人間離れしているのかと感嘆せざるをえない。何しろ、覇王のちょっとした仕草で、ひとが百人単位で死んでいくのだ。その様は、もはや人間と言うより、怪物と言うより、破壊の権化、ある種、台風のような現象のようですらある。この怪物がどのように倒されることになるのか。そして、三首四眼五臂六脚の怪物が、いつどのようにしてほんとうに誕生することになるのか。楽しみで楽しみで仕方がない。
秋山真琴 | ★★ | 14:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
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