2007.07.21 Saturday
機本伸司『スペースプローブ』
日本総合開発機構──通称・JUDOの宇宙探査局に所属する6人のクルーには、近くのカラオケボックスに集まって雑談するという習慣があった。あるとき、クルーのひとりからある提案が出される。近々、実施される月計画の裏で、謎の物体を調査してみないか……と。
ハヤカワSFシリーズ Jコレクション。『神様のパズル』で知られる機本伸司によるJコレ作品は、未知との遭遇を描いたファーストコンタクト物。てっきり青少年が主人公で、ライトなSFが展開されると思いきや、飛び交う専門用語の数々に驚いた。なにしろ宇宙に飛び出すまでで300ページ近い本の半分が費やされているのだ。カラオケボックスで夜な夜な交わされる議論は、おそらくSFファンからすれば垂涎ものの会話なのだろう。SF脳を持たない秋山は何のことだが分からず、時おり挟まれる登場人物同士の確執や、彼らの月への想いぐらいしか楽しめるポイントがなかったのが残念。ただ、前半部分が必ずしもSFファンだけを対象としたものではないということを明らかにしておきたいと思う。前半でじっくりと登場人物を描いたからこそ、結末の感動は立体感を持っているのだ。








