2007.08.23 Thursday
久住四季『ミステリクロノ』
時間を巻き戻すことのできる「クロノグラフ」リザレクターと、クロノグラフによる効果を打ち消すことのできるリ・トリガー。遥海慧はある日、時間を操作するアイテムを持った天使と出会った。地上に7つの「クロノグラフ」を落としてしまい、それを回収するように命じられた彼女はしかし人間世界においてはあまりに無力で、脆弱だった。少女を通りこして幼女の性格を持つ天使に、遥海慧は手を差し伸べる……。
『トリックスターズ』でミステリ・スピリッツを、存分に見せ付けてくれた久住四季による新シリーズ。前シリーズにおいて魔術がけして万能な概念ではなく、むしろある意味で科学以上に制約の多い、論理的なものとして描かれていたように、今回も「クロノグラフ」は自由に時間を操作するものではなく、極めて機能が限定された、なにげに使い勝手の悪いアイテムとして描かれている。シリーズ1作目となる本書では、とりあえず舞台と登場人物、そして「クロノグラフ」を中心とした、世界観の説明にページが費やされている。したがって物語自体はあまり回転しておらず、やや冗長さを感じさせないでもないが、時間を巻き戻すだけのリザレクターの意外な使い道には思わず感嘆し、その切れ味の鋭さには思わず立ち上がって拍手をしそうになった。そして本書によって、舞台と登場人物は、それなりに固められたように思う。次回から炸裂するであろう物語には、期待に胸が膨らむばかりだ。
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