2007.08.28 Tuesday
西尾維新『トリプルプレイ助悪郎』
「髑髏畑一葉様 来たる七月二十四日、貴女のお父上である髑髏畑百足先生の最後の作品を頂戴しに裏腹亭に参ります。どうかお構いなく 刑部山茶花」作家・一葉の元に届けられた予告状。それは三重殺の案山子(トリプルプレイのスケアクロウ)とも呼ばれる大泥棒から出されたものだった。失踪した大作家の遺した“最後の作品”とは──!
JDCトリビュート作品。西尾維新の手によるもののなかでは『ダブルダウン勘繰郎』に続く第2弾。とは言え、前作や清涼院流水のJDCシリーズへの関連度は極めて低いので、他の作品を読んでおく必要性は限りなくゼロに近い。西尾作品のなかでは、珍しくキャラクタ自体にではなく、登場人物たちの交わす会話と設定とに魅力があるタイプの作品だ。独自の小説論のようなものもあり、なかなか面白く読めた。興味深いのは終盤で明かされる、この作品の構造だ。多くの読者はこの構造を見た瞬間に、そのあまりの突飛さに呆然とするだろうが、JDCファンは喝采を挙げると思われる。なぜなら誇大妄想とも言えてしまう、大掛かりすぎる仕掛けがJDCシリーズの魅力のひとつであり、西尾維新がトリビュートした概念だと言えるからだ。清涼院流水を作家として評価できると考えている読者には、必読の一冊。
感想リンク:雲上四季 リクリップス のべるのぶろぐ









