2007.08.30 Thursday
桜庭一樹『青年のための読書クラブ』
東京は山の手にあるお嬢様学校・聖マリアナ学園。西の官邸と呼ばれる旧校舎の生徒会、東の宮殿と呼ばれる体育館の演劇部、北のインテリヤクザと呼ばれる新校舎の新聞部、そして南のへんなやつ等こと赤煉瓦ビルに巣くう読書クラブ。四つの勢力の争いおよび、一年にひとり選ばれる“王子”が巻き起こす事件は、生徒会によって綴られる学園の正史にではなく、読書クラブが綴る暗黒の読書クラブ誌にこそ残される……!
難しい。極めて難しい。間違いなく傑作であることは確かなのだが、いかにして語るべきか……まるで完成しているから述べるべき感想が存在しないような代物である。本書の魅力を考えたとき、やはり第一に思い浮かぶのは、そのふしぎな壮大さだろう。お嬢様のみによって構成されている学園内部の物語であるゆえ、実に閉鎖的で不完全なのだが、その内側に生活する彼女らの視点によって描かれた事件は、実際以上に壮大かつ歴史的な事件のように思える。いや、実際、歴史的なのだ。1919年から2019年という時の流れを経て変わるもの、なお変わらないもの。ううむ、やはり難しい、うまく言葉にできない。本書は読書会で取り上げたいタイプの本、多様な読み方が許される、奥深い小説だ。
感想リンク:雲上四季 のべるのぶろぐ

















