2007.12.22 Saturday
冲方丁『オイレンシュピーゲル 3 Blue Murder』
通常の特甲より強い能力を発揮できる特甲レベル3。そして、それにつきまとう人格改変プログラム。喪失された記憶。果たして、涼月、陽炎、夕霧──その初出撃のとき、いったい何が起こったのか? そしてなんのために特甲レベル3は警戒されるのか。特甲猟兵の少年が夕霧の前に姿を現したとき、真相の欠片が見え隠れし始める……。
『スプライト』の3巻と同じく、1時間刻みで物語が進むのかと思いきや、そんなことはなく1巻と同じく、登場人物のひとりひとりをメインに据えた短編が3本掲載されていた。全体で緩やかに物語が進行しているが、戦闘シーンも呆気なく、主にキャラクタたちの日常生活を楽しむような向きであった。しかし、これがどうにも今ひとつ。3話目の短編のみ、物語の進行が見られ面白く読むことができたが、やはり葛藤や苦悩がないと退屈で仕方がない。これなら『スプライト』の3巻の方が面白かったぐらいだ。とは言え、逆に言えば、彼女らの日常生活をばっちり描かれているので、私生活が知りたいなーと思っていた読者にとっては、これ以上はなく面白い巻と言えよう。後は白露。砂漠で延々と待機する彼は、なんとなく『ヴェロシティ』におけるクルツを彷彿とさせて「あ、いいなー」と思った。彼の活躍がもっと読みたい。そんな感じの3巻だった。





