2007.12.23 Sunday
冲方丁『ばいばい、アース 1 理由の少女』
猫の如き目を持つ月瞳族、鼠の如き牙を持つ月歯族、羊の如き目を持つ弓瞳族、角を持つ水角族、蛙の如き足を持つ足長族、ケンタウロスの如き四本足を持つ四蹄族。様々な種族の入り乱れるこの世界にあって、ラブラック=ベルはただひとり牙も毛皮も鱗もない、“のっぺらぼう”の人間だ。一体、自分が何処から来たのか。由縁を探すため、彼女は旅に出ようとする……。
恐らく5年か4年ぶりに再読したのだが、やはり心地よい。なんと言ってもこの世界観だ。予備知識があろうとなかろうと、一切の説明なく飛び交うテクニカルタームに、読者は翻弄を免れないだろう。だが、次第に分かってくるのだ。この、何とも言えない、古風さと異質さが絶妙に交じり合うファンタジィに。さらに魅力なのは、この一直線に通っているストーリィだ。既に結末を知っている身として、伏線を拾いながら読む愉しみを味わうことが出来るのだが、初めて読んだときは右往左往しているように感じられた物語も、全体を知っている今ならば、愚直なまでに真っ直ぐだったことが分かる。ああ、これだから冲方丁は面白いのだ。世界を穿孔せよ……!





